胆・膵管擦過細胞診標本における疑陽性例(Class III)の検討

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  • Examination of suspicious results of bile and pancreatic duct brush specimens

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抄録

目的 : 胆・膵管細胞診の正診率向上のため, 変性の少ない擦過細胞診の疑陽性例 (Class III) の検討を行った.<br>方法 : 当科に提出された胆・膵管擦過細胞診標本 248 件のうち, 疑陽性例は 67 件 (27.0%) であった. そのうち特殊症例を除き, 組織診で確定診断された 40 例 (良性 16 と悪性 24) について, 出現細胞の(1)核長径, (2)細胞長径, (3)N/C 比, (4)核型所見, (5)核小体の有無, (6)クロマチン所見, (7)粘液の有無, (8)Cluster 長径, (9)Cluster 乳頭状所見, (10)Cluster 重積性, (11)Cluster 辺縁所見, (12)Cluster 結合性, (13)孤立散在性の 13 項目について有意差の検討を行った.<br>成績 : 定量的に検討した(1)∼(3), (8)項目について, 有意差は認められなかった. また, 定性的に検討した残り 9 項目のうち, (5), (9), (10)については軽度の差が認められた. それぞれの良性 : 悪性比は, (5)=43.8% : 20.8%, (9)=37.5% : 50.0%, (10)=37.5% : 62.5%であった. 他 6 項目については有意な差は認められなかった.<br>結論 : 疑陽性例 (Class III) の良性群と悪性群においては, 決定的に有意な差は認められず, 擦過細胞診標本においても非常に難解であると考えられた. しかし, 核小体の有無では, 良性群に陽性率が軽度高い傾向がみられ, 良性細胞を疑陽性へと悪性よりに判定している可能性があり, また Cluster の乳頭状所見や重積性では悪性群に軽度高い傾向が認められ, 疑陽性例の細胞所見の判定に役立つ可能性が示唆された.

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