蛋白質と調理(II)―蛋白質はなぜ変性しやすいか―

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説明

直鎖状合成高分子化合物と異なり,蛋白質がそれぞれ一定の形をもっているのは,構成単位が約20種多種多様のアミノ酸であるため,ポリペプチド鎖のところどころに塩結合,水素結合,疎水性結合などの橋かけ結合ができ,これが形を保つ役をしているためである。しかしこの橋かけ結合はあまり強いものではない。したがって比較的おだやかな条件によっても切られる。橋かけ結合が切れると,ポリペプチド鎖はより自由な状態となり,分子の形は崩れる。自由な状態になったポリペプチド鎖は,物理的にも化学的にも反応性がまし,やがて分子内および分子間に新しい橋かけ結合ができ,前とは全くちがった形が作り上げられる。形が変れば,高分子の通性として性質も変る。分子間に多数の橋かけ結合ができ,各分子が所々で互に結ばれあうようになると凝固がおこる。変性のさい見られる現象の中には,分子の変形と関係づけられるものが多い。

収録刊行物

  • Science of Cookery

    Science of Cookery 1 (3), 136-140, 1968

    一般社団法人 日本調理科学会

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