過敏性腸症候群の発生機序 : 消化管知覚過敏に関与する炎症と脊髄神経興奮

  • 濱口 豊太
    東北大学大学院医学系研究科行動医学:新潟医療福祉大学医療技術学部作業療法学科
  • 金澤 素
    東北大学大学院医学系研究科行動医学
  • 福士 審
    東北大学大学院医学系研究科行動医学

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanisms of Visceral Sensitization and Development of Irritable Bowel Syndrome : Inflammation and Hyperexcitability of the Spinal Nerves
  • カビンセイ チョウ ショウコウグン ノ ハッセイ キジョ ショウカカン チカク カビン ニ カンヨ スル エンショウ ト セキズイ シンケイ コウフン

この論文をさがす

説明

ストレス関連疾患である過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)では消化管運動異常とともに知覚過敏が生じている.IBSの治療方法の確立のため,IBS発生機序を解明する研究が進んでいる.IBSの発生機序の一因として消化管炎症後の感作現象(sensitization)が挙げられる.腸内の炎症が粘膜や平滑筋,神経層に何らかの反応性を生じさせ,消化管知覚過敏を生じさせるという機序が考えられる.一方,腸粘膜炎症の刺激が知覚神経の求心性信号路である後根神経節細胞(dorsal root ganglion:DRG)の過興奮性を生じさせ,内臓求心性神経経路の長期にわたる増感に関わる可能性が示唆されている.消化管知覚過敏の発生には腸炎症や腸組織に対する機械的な刺激が引き金となり,脊髄神経の過興奮性が生じ,さらに中枢神経系のネットワークに影響する仕組みがあると考えられる.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 47 (1), 13-18, 2007

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (43)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ