ヒトインスリン/インスリンアスパルトへの重篤なインスリン抵抗性が生じ,インスリンリスプロが著効した2型糖尿病の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Immunological Insulin Resistance to Human Insulin/Insulin Aspart and Effective Treatment with Insulin Lispro in a Patient with Type 2 Diabetes
  • ヒトインスリン/インスリンアスパルトへの重篤なインスリン抵抗性が生じ,インスリンリスプロが著効した2型糖尿病の1例--抗体の質的検討
  • ヒトインスリン インスリンアスパルト エノ ジュウトクナ インスリン テイコウセイ ガ ショウジ インスリン リスプロ ガ チョコウシタ 2ガタ トウニョウビョウ ノ 1レイ コウタイ ノ シツテキ ケントウ
  • —抗体の質的検討—
  • —Qualitative Analysis of Insulin Antibodies—

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抄録

症例は84歳,男性.1993年に糖尿病と診断され,00年にヒトインスリン(HI)を開始した.03年1月まで,必要量1日80単位に漸増し,125Iインスリン結合率は96%を示した.インスリンアスパルト(IAsp)に変更し,HIとほぼ同量で血糖コントロールは維持されていたが,04年7月上旬突然血糖値が著しく上昇し,IAsp毎食前30単位で効果がなく,9月中旬インスリンリスプロ(ILP)に変更した.血糖値は3∼4日後から急速に低下し,11月以降毎食前12単位で良好に維持された.IAsp特異的抗体15.1%, IAsp/HI交差反応性抗体47.2%と高値で,Scatchard解析ではhigh-affinity siteの親和性が低く,結合能は著しく高値で,インスリン自己免疫症候群(IAS)の抗体と類似していた.本例はHI/IAsp治療中産生されたインスリン抗体により,HIやIAspへの抵抗性が生じて著しい高血糖を呈したが,ILPが血糖降下に著効を示した興味ある症例である.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 50 (2), 145-152, 2007

    一般社団法人 日本糖尿病学会

被引用文献 (9)*注記

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参考文献 (26)*注記

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