生下時より頸部腫瘤を認めた先天性梨状窩瘻の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Cervical Cyst in Neonate due to Congenital Pyriform Sinus Fistula
  • 症例 生下時より頸部腫瘤を認めた先天性梨状窩瘻の1例
  • ショウレイ セイカジ ヨリ ケイブ シュリュウ オ ミトメタ センテンセイ リジョウ カロウ ノ 1レイ

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抄録

先天性梨状窩瘻は急性化膿性甲状腺炎として,幼児期以降に発症することが多い。今回,われわれは生下時より頸部嚢胞性腫瘤を形成し,哺乳により増大,気道の圧迫をきたしたまれな先天性梨状窩瘻の1例を経験したので報告する。<br>症例は日齢5の女児で,主訴は左頸部腫瘤,呼吸困難であった。在胎40週4日で自然分娩にて出生し体重は3164gであった。出生時より左前側頸部には約5cm大,弾性軟の頸部腫瘤を認めた。日齢1より哺乳を開始すると徐々に頸部腫瘤増大し,喘鳴とともに呼吸状態も悪化した。CT,MRIでは単房性嚢胞の所見であり,気道は腫瘤により圧排され狭小化していた。頸部腫瘤の内容液を穿刺・吸引することにより腫瘤による気管圧排が解除され呼吸状態が改善したが哺乳の再開に伴い,再び頸部腫瘤の増大と呼吸困難を生じた。下咽頭あるいは食道と交通する先天性嚢胞を疑い,日齢26に腫瘤摘出術を施行した。下咽頭収縮筋を貫き左下咽頭梨状窩に交通する2mm程度の瘻管を同定し,嚢胞とともに摘出した。<br>哺乳開始により腫瘤増大をきたす頸部嚢胞性病変を認めた場合は,先天性梨状窩瘻も念頭に置き,診断・治療を進める必要があると考えた。

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参考文献 (1)*注記

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