脳内出血患者における深部静脈血栓の発生部位とD-dimer値の関連についての検討

  • 緒方 利安
    国立病院機構九州医療センター脳血管センター・臨床研究センター・脳血管内科
  • 矢坂 正弘
    国立病院機構九州医療センター脳血管センター・臨床研究センター・脳血管内科
  • 湧川 佳幸
    国立病院機構九州医療センター脳血管センター・臨床研究センター・脳血管内科
  • 北園 孝成
    九州大学大学院研究部病態機能内科学
  • 岡田 靖
    国立病院機構九州医療センター脳血管センター・臨床研究センター・脳血管内科

書誌事項

タイトル別名
  • Association of location of deep venous thrombosis and d-dimer value in acute intracerebral hemorrhage
  • ノウ ナイシュッケツ カンジャ ニ オケル シンブ ジョウミャク ケッセン ノ ハッセイ ブイ ト D-dimerチ ノ カンレン ニ ツイテ ノ ケントウ

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説明

目的:脳出血急性期における下肢深部静脈血栓症(DVT)の発症の有無と部位に,D-dimerが関連するかについて検討した.方法:対象は2005年6月から2006年9月までに当院に入院した発症72時間以内の急性期脳内出血患者のうち,2週間後のD-dimer値を測定し得た48例(年齢70.5±10.0歳,男性21例,女性27例)である.脳出血発症から約2週後に,下肢静脈エコーで総大腿・深大腿・膝窩・後脛骨・腓骨・ヒラメ筋静脈におけるDVTの有無を調べた.そして,DVTが見られなかった群(陰性群),下腿のみにDVTを認めた群(下腿群),大腿もしくは膝窩静脈にDVTを認めた群(近位群)に分けた.下肢静脈エコーと同時期に,D-dimerを測定し,各群ごとにD-dimer値が異なるかについて,単変量・多変量解析を用いて検討した.結果:陰性群は27例(61.4%),下腿群は15例(34.1%),大腿群は2例(4.5%)であった.発症2週間後のD-dimer中央値は陰性群0.9 μg/mL,下腿群4.8 μg/mL,近位群25.0 μg/mLで,下腿・大腿群ともに陰性群よりも有意にD-dimer値が高かった(陰性vs下腿;p<0.001,陰性vs近位;p=0.001,下腿vs近位;p=0.21,Scheffe test).D-dimerでDVTの有無を推定するための,また下腿のDVTから大腿にDVTが存在することを推定するためのカットオフ値はそれぞれ3.9 μg/mL,18.5 μg/mLだった.結論:D-dimer値は脳出血急性期患者のDVTの存在および発症部位を予測するのに有用である.<br>

収録刊行物

参考文献 (39)*注記

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