小児癌患者における自家末梢血幹細胞輸注に伴う副作用の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Toxicity at the Infusion of Cryopreserved and Thawed Peripheral Blood Stem Cell Grafts in Children
  • ショウニ ガン カンジャ ニ オケル ジカ マッショウケツ カンサイボウ ユチ

この論文をさがす

抄録

末梢血幹細胞(PBSC)の輸注時には,混入した赤血球の破壊産物や凍害防止液として用いるDimethylsulfoxide (DMSO)などに起因するさまざまな副作用が生じる。今回33名の各種小児癌患者に計36回のPBSC輸注を行い,その副作用の発生について検討した。輸注された幹細胞浮遊液は,8.0±4.4 ml/kg (mean±SD)で,これに伴い輸注されたDMSO量は0.80±0.44 g/kgとなった。認められた副作用は,血色素尿33例(91.7%), 悪心28例(77.8%), 頭痛27例(75.0%), 嘔吐20例(55.6%)であった。また血圧低下,呼吸困難,意識障害などの前ショック状態は8例(22.2%)で生じたが,いずれもhydrocortisoneの投与によりすみやかに回復した。急性腎不全や心肺停止などの重篤な副作用はみられず,嘔吐の発生頻度のみが輸注量と相関したが,その他の副作用は相関しなかった。副作用の発生を予知することは困難であり,予備力の乏しい患者においては充分な観察が必要と思われた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 33 (3), 317-321, 1992

    一般社団法人 日本血液学会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ