書誌事項
- タイトル別名
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- Rapid Identification of <I>Bilophila wadsworthia</I>
- Rapid Identification of Bilophila wadsworthia
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説明
Bilophila wadsworthiaは無芽胞の嫌気性グラム陰性桿菌で, 壊疽性・穿孔性虫垂炎, 腹膜炎, 骨髄炎, 菌血症など多彩な感染症から多くは複数菌感染の形で分離される菌である. 本菌の分離はBacteroidesbile esculin (BBE) 寒天培地を用いて5-7日の嫌気培養を行えば比較的容易であるが, 簡便な同定方法は示されていない. このことから, BBE寒天培地上, B. wadsworthiaと推定された32株と, B. wadsworthiaWAL7959および性状が比較的似ていて, 鑑別が必要なDesulfomonas pigraの参考菌株DSM749を用いて種々な性状の検討を行った. その結果, B.wadsworthinのD.pigraとの大きな相違点はBBE寒天培地上での黒目玉状のコロニー形成, 強いカタラーゼ活性, 酸性フォスファターゼ活性およびバクテロイデス培地で発育しないことであった. したがって, 5-7日の嫌気培養でBBE寒天培地上特徴的な黒目玉状のコロニーを形成し, カタラーゼ強陽性で, バクテロイデス培地で発育せず (あるいは10μgコリスチンディスクに感受性を示し), 酸性フォスファターゼが陽性の運動性のない嫌気性無芽胞グラム陰性桿菌であれば, B.wadsworthinと同定しても差し支えないものと思われた.
収録刊行物
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- 感染症学雑誌
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感染症学雑誌 71 (7), 614-619, 1997
一般社団法人 日本感染症学会