東京都内で発生した<i>Yersinia enterocolitica </i>血清群O8 による 集団下痢症2 事例と分離菌株の細菌学的検討

書誌事項

タイトル別名
  • Two Outbreaks of <i>Yersinia enterocolitica </i>O:8 Infections in Tokyo and the Characterization of Isolates
  • 東京都内で発生したYersinia enterocolitica血清群O8による集団下痢症2事例と分離菌株の細菌学的検討
  • トウキョウ トナイ デ ハッセイ シタ Yersinia enterocolitica ケッセイグン O8 ニ ヨル シュウダン ゲリショウ 2 ジレイ ト ブンリ キンカブ ノ サイキンガクテキ ケントウ

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説明

わが国では,Yersinia enterocolitica による食中毒は非常に少ない.しかし2012 年~2013 年にかけて全国で 4 事例の集団感染が報告された.東京都ではこのうち2 事例について検査を実施したのでその概要を報告する.事例1:2012 年8 月,合宿先の食事を喫食した高校生等39 名が腹痛,下痢,発熱等を呈したため検査を実施した.その結果,患者便28 検体中18 検体(64.3%)からY. enterocolitica 血清群O8 が検出された.合宿先の食事や環境材料からY. enterocolitica は検出されず,感染源は不明であった.事例2:2013年4月に寮の食事を喫食した学生52 名が下痢,発熱等を呈した.検査の結果,患者便および調理従事者糞便の合計24 検体からY. enterocolitica 血清群O8 が検出された.原因食品を特定するため,保存してあった食品の検査を行った.各食品にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加え,4℃,21 日間増菌培養後,培養液を対象にail 遺伝子を対象としたリアルタイムPCR 法でスクリーニング試験を行った.その結果,1 検体(野菜サラダ)が陽性となったため,菌の分離を試みた.培養液中にはY. enterocolitica 以外の菌も非常に多く,培養液を直接CIN 寒天に塗抹した方法では分離が困難であった.そこで培養液のアルカリ処理(10 秒間)や免疫磁気ビーズ法により集菌する方法を検討した結果,効率的にY. enterocolitica を分離することが可能となった.事例2 は「野菜サラダ」を原因食品とした食中毒であると断定された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 90 (1), 66-72, 2016

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (10)*注記

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