組合せ分析法の考察と新方法の提示

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on the Methods of Combination Analysis and Presentation of the New Method
  • クミアワセ ブンセキホウ ノ コウサツ ト シン ホウホウ ノ テイジ

この論文をさがす

抄録

ウィーバー法, トーマス法, 幸田K法等をはじめとする組合せ分析法は, 地域区分や類型設定等に数多く適用され, 地理学研究のなかでは重要な分析法となっている. しかし, 従来の方法を検討すると, 種々の点で問題がみられるのも事実である. たとえば,ウィーバー法等の偏差平方和を利用した分析法では, 構成要素に等分型の基準を課しているが, この基準は輪作地域であっても客観的な根拠を有していない. また, 幸田K法のような従来みられる基準値を採用した分析法にも, 基準値の設定の仕方には必ずしも恣意性が拭いきれない. そこで, 本稿では以上の点を踏まえて, 新しい組合せ分析法として基準値A法を提示した. 全構成要素数をnとすると, 基準値Aは, A-(100/n)と表わせる.そして,この基準値以上の比率を有する構成要素を大きい順に取り上げるというのが, ここで提示した方法である. これは平均比率(%)にさえ達していない要素は当該地区を代表する主要構成要素とはいえないという考え方であり, 大多数の人が納得できる基準といえ, その意味するところも明決である. そして基準値A法は, (1)根拠に欠ける等分型基準に基づく偏差平方和を採用している分析法よりも, 構成要素の採否の意味が明確なこと, (2)幅広く一般の構成要素系列に適用できること, 等の点において, この偏差平方和を用いた分析法よりも, 分析法の考え方が優れている. また, 基準値A法は, 幸田K法のような従来の基準値を採用した分析法のなかでも, 基準値の意味が相対的に明確で, より目的合理的な点で優れている. 一方, 基準値A法の有効性を実証するため, 山陰地方の143市町村に対して作目構成型の決定を試みた. その結果, 基準値A法はより適切に主要作目を拾い上げることが可能で, 従来の方法よりも優れていることが明らかとなった. すなわち, この方法は実際面での有効性も備えているといえる.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ