芳香族スルホン酸ナトリウムのアルカリ溶融の考察ならびに脱アルキル化反応の機構

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タイトル別名
  • Alkali Fusion of Sodium Arenesulfonates and the Mechanism of Reaction of Dealkylation
  • ホウコウゾク スルホンサン ナトリウム ノ アルカリ ヨウユウ ノ コウサツ ナラビニ ダツアルキルカ ハンノウ ノ キコウ

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抄録

アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのアルカリ溶融にともなう脱アルキル化反応は, 溶融反応にあずかるスルホン酸ナトリウムならびに生成したフェノレートの熱変化によって起こるものではなく, まったく溶融反応にともなって起こるものであり, アルキル基はアルカリとの反応によりほとんどアルコールとして離脱し, 溶融物中にアルコレートとして存在することがわかった。<BR>この事実にもとづいて脱アルキル化反応の機構を, スルホン基の電子吸引効果と3d 軌道共鳴の寄与によって説明した。<BR>これまでに行なった各種の芳香族スルホン酸ナトリウムのアルカリ溶融の反応性は, まったく置換基のおよぼす電子的効果として一定の傾向を示すが, とくにアルキル置換基をもつものの, 反応に対する妨害的な影響とアルキル基の安定性すなわち脱アルキル化反応の傾向が比例的関係にある。さらに溶融反応の起こりやすさは脱スルホン化, すなわち置換基の効果にもとづくスルホン基自体の熱安定性の傾向と互いに逆の関係にあることもわかる。したがってアルカリ溶融においては, これらの置換基の電子的効果が相乗的にきいて大きな影響をおよぼしている。そこで以上の検討の結果, 芳香族モノスルホン酸ナトリウムのアルカリ溶融に関してはSN2反応と考えて予測ならびに考察を行なっても差支えない。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 69 (10), 1950-1953, 1966

    The Chemical Society of Japan

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