初診時に肺転移を生じていた下腿巨大熱傷瘢痕癌の1例

DOI
  • 永田 尚子
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座
  • 種村 篤
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座
  • 田中 かおる
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座
  • 矢島 智子
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座
  • 谷 守
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座
  • 片山 一朗
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座
  • 玉井 宣行
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻整形外科講座
  • 沢端 章好
    大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻呼吸器外科講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Giant Squamous Cell Carcinoma Arising from the Burn Scar with Lung Metastasis
  • ―当科でこれまで経験した瘢痕癌との臨床的比較検討―
  • ―Comparison to 7 Cases Experienced in Our Department―

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抄録

58歳,男性。2歳時に両膝から下腿にかけ練炭で熱傷を負った。初診の9ヶ月前に左膝蓋部の熱傷瘢痕部に潰瘍を伴う小結節が出現し,5ヶ月前より急激に増大した。出血するようになったため当院を紹介されて受診した。初診時径 20cm 大のカリフラワー状の巨大腫瘤を認め,左下肢膝上切断術および左鼠径部リンパ節郭清術を施行し,瘢痕癌 pT3N1M0 stage III(2002年皮膚悪性腫瘍取り扱い規約に準ず)と病期診断した。初診時に認められた右肺のわずかな結節陰影が初診から4ヶ月後に増大してきたため,初診時にはすでに肺転移を起こしていたと考えた。右肺区域切除および化学療法を併用したが,両側胸膜に播種し,初診から16ヶ月後に永眠した。自験例を含め当院では過去10年間に8症例の瘢痕癌を経験している。病変の大きさについては長径 10cm 以上の症例が多く,腫瘍の大きさが予後不良因子と関連がある可能性も考えられた。また1例(12.5%)の局所再発,3例(37.5%)のリンパ節転移,2例(25%)の遠隔転移を認め,瘢痕癌は有棘細胞癌と比較し,局所再発やリンパ節転移が多く予後が悪いと考えた。(皮膚の科学,10: 298-304, 2011)

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 10 (4), 298-304, 2011

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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