生命の定義と質料形相論

書誌事項

タイトル別名
  • Aristotle's Definitions of <I>Psyché</I> and Hylomorphism
  • アリストテレス『デ・アニマ』B巻第一、二章の問題

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説明

アリストテレスは、「プシューケー (魂、生命) 」を主題とする著作『デ・アニマ』で、生物においてプシューケーは形相であり、身体は質料であるという質料形相論を展開している。形相が質料から不離存的であることに訴えて「プシューケーと身体は一つである」と主張する論点は、今日の心身論の観点からも注目されている。ところが、生物における質料形相論をめぐってはアクリルが問題を提起し、プシューケーを「形相」あるいは「第一の現実態」とする定義が理解しがたいと主張した。以後、この問題が議論されているが、アクリルの解釈を検討すると、同名異義原理の適用上の誤りが含まれている。同名異義原理とは、今その目的だけを言えば、生物を生物たらしめるプシューケーが、外形とは区別された意味での形相であることを教える原理である。そこで本稿では、同名異義原理の誤用の起源を探るとともに、プシューケーの定義の意味を明らかにし、生きる力・原理としてとらえられたプシューケーが生命にほかならないことを示したい。

収録刊行物

  • 哲学

    哲学 1998 (49), 169-179, 1998-05-01

    日本哲学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680298584448
  • NII論文ID
    130003661331
  • DOI
    10.11439/philosophy1952.1998.169
  • ISSN
    18842380
    03873358
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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