遺伝性運動失調マウスの成長発達による行動量・運動失調の変化―小脳cyclic nucleotide濃度との関連において―

書誌事項

タイトル別名
  • Changes in Movement and Ataxic Gait with Development in Genetically Ataxic Mice: A Comparison with the Level of Cerebellar Cyclic Nucleotide
  • イデンセイ ウンドウ シッチョウ マウス ノ セイチョウ ハッタツ ニ ヨル

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説明

小脳の病理組織学的変化の異なる遺伝性運動失調マウスを対象とし, 成長発達に伴なう行動量・運動失調の変化を正常マウスと比較検討した。行動量・運動失調の変化と脳内の生化学的変化との関連性を知るためにsecond messengerと考えられ, 小脳に高濃度に含まれているcyclic nucleotide (c-AMP, c-GMP) 濃度をradioimmunoassay法により測定した。Purkinje Cell Degeneration (PCD) 系以外のRolling Mouse Nagoya (RMN) 系, Weaver系, Reeler系の行動量は4, 12週齢時において正常マウスに比較し, 低下を示した。運動失調の程度は, RMN系に成長発達に伴ない増悪し, Reeler系はほぼ一定で, Weaver系とPCD系は改善が認められた。各運動失調マウスの小脳c-AMP濃度は正常マウスに比較して, 4, 12週齢時において明らかな差はみられなかったが, 小脳c-GMP濃度は低下がみられた。成長発達に伴ない正常マウスとWeaver系の小脳c-GMP濃度は増加したが, Reeler系, RMN系およびPCD系では明らかな変化はみられなかった。Weaver系のみは運動失調の改善に伴ない小脳c-GMP濃度の増加がみられたことからWeaver系の運動失調の発現と小脳c-GMP濃度の間には何らかの関連性があると考えられた。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 37 (1), 1-6, 1988

    公益社団法人 日本実験動物学会

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