尋常性ざ瘡の病態に及ぼす<I>Malassezia</I>の関与の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Molecular analysis of the lipophilic yeast <I>Malassezia</I> colonizing pustules in acne vulgaris patients
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説明
尋常性ざ瘡は、脂腺毛包の慢性炎症性疾患である。病態について未だ不明な点が多いが、本疾患は毛包の異常角化に伴う過角化、皮脂腺からの皮脂分泌過多、毛包内での微生物の増殖と、それに伴う炎症と免疫反応によって生じると考えられている。毛包内微生物に関しては、Propionibacterium acnes (P. acnes)、Staphylococcus epidermidis(S. epidermidis)、Malassezia spp.などの関与が指摘されている。 従来はP. acnesが最も本疾患の発症に関与していると考えられてきたが、日常診療では抗生剤が効果を示さない症例も散見される。一方、皮膚常在真菌である好脂性酵母Malasseziaは、癜風、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの原因菌や増悪因子として知られ、病変部から、M. globosa、M. restrictaなどが高頻度に検出される。今回われわれは、尋常性ざ瘡と微生物、特にMalasseziaの関与について検討した。 顔面に膿疱を有する成人のざ瘡患者33名から膿疱を採取した。膿疱から菌由来DNAを抽出し、PCRにて、P. acnes、S. epidermidisの有無、Malassezia9菌種の菌叢解析、real time PCRによる主要、Malassezia構成菌種の定量を同時に実施した。その結果、P. acnes、S. epidermidis、Malasseziaはそれぞれ、症例の39.4%、96.9%、69.7%から検出され、個々の症例において、P. acnesとMalasseziaは共存しない傾向が認められた。また、Malasseziaの中では、M. globosaが量的に多く検出された。以上の結果より、尋常性ざ瘡の病態に、Malasseziaが予想以上に強く関与していることが示唆された。
収録刊行物
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- 日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
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日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 50 (0), 132-132, 2006
日本医真菌学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680500162560
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- NII論文ID
- 130006947907
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- ISSN
- 09164804
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可