公的集合住宅地における人口変動の推計方法と人口計画の可能性について (その 2)

書誌事項

タイトル別名
  • ON THE POPULATION ESTIMATION METHOD AND THE MEASURE HOW TO CONTROL THE POPULATION CHANGES IN THE HOUSING ESTATES. (Part 2.)
  • 公的集合住宅地における人口変動の推計方法と人口計画の可能性について-2-
  • コウテキ シュウゴウ ジュウタクチ ニ オケル ジンコウ ヘンドウ ノ スイケ

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抄録

以上, 児童数変動を例にとって, 公的集合住宅地における人口計画の可能性について論じてきたが, その主なものをまとめると, (1)児童数変動におけるピーク値は, 一般に新規来住家族型構成が若い構成である程, 又残留率が高い程, 高い出現数となる。又, (管理開始後おおむね15〜18年目以降におとずれる)定常値は, 残留率によってのみきまり, 残留率が低い程高い値となる。(2)同じ住戸数の住宅団地を建設する場合でも(公営にあっては)種別の, 又は(公社・公団にあっては)賃貸・分譲別及び住戸型別の住戸数配分を勘案する事により, 児童数ピーク値を低くおさえる事が可能となる。人口計画の立場からは, 都営住宅団地においては, 2種住宅の戸数配分を多くする方が, 又, 都公社(公団も同様)住宅団地では, 分譲住宅又は賃貸3寝室以上の戸数配分を多くする事が望ましい。(3)人口計画の立場からは, 住宅団地の建設期間は, できるだけ長くとる方が有利となる。この事は, 特に大規模開発の場合に重要である。などである。一般に住宅地における人口計画とは, 人口構成全体の偏りを平準化するか, 偏りを縮少する事を意味するが, ひるがえって, 文献(1)及び(2)における実態の詳細な分析結果, 又は本報告における検討結果から, 人口構成の(ひいては家族型構成の)若年令層への偏りの有無は, 結局児童数変動におけるピーク時出現数の高低に結びつくものであると言えるから, 以上展開してきた児童数変動を例にとった人口計画上の諸考察は, この広義の人口計画にも, あてはめて考える事ができるものと考えられる。なお, 特に新規来住開始時点において顕著なこうした公的集合住宅における人口構造の偏りは, 本質的には住宅需要層の偏りに主因があるといっていい訳で, この事からこうした偏りを無原則に平準化してしまう事は社会的に望ましい事とは言えないのは勿論である。従って, 公的集合住宅における人口計画については, どの程度の偏りまでなら許容できるのか(周辺地域との人口構造上の融和などの観点を含めて)という議論が一方で必要となると言える。今後の研究の課題として銘記されるべき一つであると思われる。

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