シスプラチン投与ラット尿サンプルにおけるmiRNA発現解析

  • 南 圭一
    小野薬品工業株式会社 福井研究所 安全性研究部
  • 新田 浩之
    小野薬品工業株式会社 福井研究所 安全性研究部
  • 上原 健城
    塩野義製薬株式会社 新薬研究所 安全性研究部門
  • 上西 千晶
    独立行政法人医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 五十嵐 芳暢
    独立行政法人医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 神吉 将之
    アステラス製薬株式会社 安全性研究所
  • 木野 潤一
    大塚製薬株式会社 徳島研究所 安全性研究センター
  • 阿部 香織
    大塚製薬株式会社 徳島研究所 安全性研究センター
  • 堀之内 彰
    武田薬品工業株式会社 薬剤安全性研究所
  • 小野 敦
    国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室
  • 山田 弘
    独立行政法人医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 漆谷 徹郎
    独立行政法人医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト 同志社女子大学 薬学部
  • 大野 泰雄
    国立医薬品食品衛生研究所

書誌事項

タイトル別名
  • MicroRNA expression analysis in cisplatin-treated rat urine

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説明

【背景および目的】トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)は,トキシコゲノミクスによる安全性バイオマーカーの探索を行い,医薬品開発の効率化を目指す産官共同研究である.本プロジェクトでは,ゲノミクスによるバイオマーカーの検討を進める一方,近年飛躍的に研究が進行しているマイクロRNA(miRNA)についてもバイオマーカーとしての有用性に注目し研究を行っている.本検討では,シスプラチン(CDDP)投与ラット腎障害モデルを作製し,尿及び腎についてmiRNAの発現変動解析を行い,各種生化学検査値,病理検査結果との比較を行った.その結果見出された尿中miRNAについて,バイオマーカーとしての有用性を検証した.<br>【方法】ラット(Crl:CD (SD)IGS;8週齢)にCDDP(0, 1, 4 mg/kg)を静脈内投与し,24及び48時間後に体重,尿量及び摂水量を測定し,腎,尿及び血漿を採取した.血液及び尿生化学検査を行い,尿中及び腎(48時間のみ)におけるmiRNAの測定及び腎病理組織学的検査を行った.<br>【結果】CDDPのいずれの投与群においても,体重,尿量,摂水量,尿クレアチニンなどの低下が24,48時間ともに認められた.また,腎病理組織学的検査では,CDDPの投与後24時間から,4 mg/kg投与群の全例(N=7)において核クロマチン変性(近位尿細管直部)が認められ,投与後48時間には尿細管壊死も認められた.尿におけるmiRNAアレイ解析の結果,4 mg/kg投与群において投与後24時間では約20種類,投与後48時間では50種類以上のmiRNAの有意な変動が認められ,腎障害時にはより多くのmiRNAが尿中に検出されることが示唆された.一方,腎におけるmiRNAはほとんど変動を示さなかった.投与後48時間において尿中で顕著に増加したmiRNAについてPCRを実施し,miRNAアレイと比較した結果も報告する.

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