カニクイザル薬物誘発性腎障害の早期検出に有用な尿中バイオマーカーの検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Urinary biomarkers for detecting drug-induced renal lesions in cynomolgus monkeys
説明
【背景】薬剤誘発性の腎障害を評価するためのバイオマーカー(BM)として血清中の尿素窒素(UN)とクレアチニン(CRN)が用いられている.これらが異常値を示すのは腎機能低下後であり,より早期に腎障害を検出できるBMが必要である.今回,尿中BMとして蛋白,アルブミン(ALB),β2-マイクログロブリン(B2M),クラステリン(CLU)およびシスタチンC(CysC)について検討した.【方法】カニクイザル雄3匹(計9匹)に近位尿細管のS1およびS2部位を障害するゲンタマイシン(GM)の40?mg/kg/日を1週間皮下,S3部位を障害するシスプラチン(CSP)の3?mg/kgを単回静脈内,糸球体を障害するピューロマイシンアミノヌクレオシド(PAN)の60?mg/kgを単回静脈内投与し,投与0,3および6日目に尿(2時間新鮮尿および16時間蓄尿)を,また,投与1,4および7日目(剖検日)に血清を採取した.自動分析装置を用いて血清中のUNとCRN,尿中の蛋白,ALBおよびB2MならびにELISA法でCLUとCysCを測定した.【結果】GM群では投与0日目の新鮮尿で蛋白,ALBおよびB2Mの増加,投与6日目では全項目に最大の増加がみられた.UNとCRNは投与7日目のみに増加がみられた.腎臓の病理組織学的検査では尿細管に好塩基性変化,変性・壊死,硝子円柱,硝子滴および単核細胞浸潤がみられた.CSP群の新鮮尿では投与0日目に蛋白およびALBの増加が,6日目にはB2MとCLUに最大の増加が,UNとCRNは投与4日目から増加がみられた.尿細管に好塩基性変化,細胞性/硝子性円柱,単核細胞浸潤がみられたが,GM群でみられた変性・壊死や硝子滴はなかった.PAN群では投与0日目の新鮮尿と蓄尿でそれぞれALBとCLUの軽度な増加がみられたが,病理組織学的変化はなかった.【結論】尿中BMは血清中のUNやCRNよりも早い時期に変化を示した.各腎障害惹起物質の作用部位は異なるが,サルにおける腎障害の早期検出には,自動分析装置を用いた尿中ALBの測定が有用と考えられた.
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 41.1 (0), P-105-, 2014
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680525161984
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- NII論文ID
- 130005468512
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可