尿中補体C5b-9のカニクイザルにおける免疫複合体による腎糸球体障害に対するバイオマーカーとしての適格性の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Fit-for-purpose validation of urinary C5b-9 as an immune complex-mediated glumerular disease biomarker in cynomolgus macaques
説明
バイオ医薬品開発の活性化に伴い、免疫複合体による腎糸球体障害(Immune Complex-mediated Glomerular Disease, ICGD)は重要なリスク要因と認識されている。現在、尿中アルブミンや総タンパクが糸球体および尿細管障害の診断マーカーとして汎用されているが、非臨床および臨床試験において病態の診断に役立つ、より感受性および特異性の高いバイオマーカーが求められている。ICGDは血中の可溶性免疫複合体が糸球体基底膜に沈着し、補体の活性化、多形核白血球の浸潤、ケミカルメディエーターの放出などを介して発症すると考えられている。本研究では、バイオ医薬品の毒性評価で汎用される非ヒト霊長類におけるICGDに対する新しい診断バイオマーカーの開発を目的として、尿中C5b-9を測定した。<br>C5b-9濃度はヒト用市販ELISAキットを用いて測定し、アッセイバリデーションはザイモザンにより刺激したサル血清をC5b-9陽性サンプルとして行った。またin vivo ICGDモデルとして、カニクイザル(雄、8匹)にウシガンマグロブリン(BCG)で免疫後、BCGを4週間連日投与してICGDを惹起した。<br>ザイモザン刺激血清を無処置サルの尿で希釈しアッセイバリデーションを実施したところ、検量線範囲内での直線性、試験内および試験間精度、凍結融解および保存安定性はいずれも良好であった。さらに、サルICGDモデルでは、すべての個体で尿中C5b-9レベルの上昇が認められ、免疫組織化学的に評価した糸球体のC5b-9陽性染色強度(軽度~重度)、病理組織学的評価によるICGD重症度(軽微~重度)および尿総タンパクレベルと相関していた。<br>以上より、尿中C5b-9はカニクイザルにおいて、総タンパク等と組み合わせて用いることで、ICGDの信頼性の高い診断バイオマーカーになりうることが示唆された。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 44.1 (0), P-152-, 2017
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680526366592
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- NII論文ID
- 130006582015
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可