あこや貝を用いた発酵かまぼこの開発

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タイトル別名
  • Development of fermented fish cake made from akoya-kai

抄録

【目的】三重県志摩市では真珠の養殖が盛んなため、あこや貝が多く獲れるが、調理法・加工法が少なく、貝柱以外の部分の多くが廃棄されている。そこで、あこや貝の有効利用のために、乳酸菌を用いた発酵かまぼこの開発を行った。また、機能性を付加するためにγ-アミノ酪酸(GABA)を生成する乳酸菌を用いた。<BR>【方法】乳酸菌には研究室保有株Lactobacillus Brevisを用いた。発酵かまぼこは、貝のすり身100gに対して食塩2.6g、滅菌水30ml、グルコース13g、凍結乾燥菌体0.05gを加えて混合し、ポリエチレン容器に充填し、37℃で4日間または20℃で7日間発酵させて調製した。分析項目はpH、凝固性、生菌数(一般細菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌)、GABA含有量、色相である。<BR>【結果】あこや貝のすり身のみを用いた試料では、pHは4 付近まで低下したが、凝固しなかった。また、試料のL*値は約40と低く、暗く黒っぽい色調であった。そこで、凝固させるために、これまでに凝固することが確認されているひおうぎ貝を添加し、色調の改善のためにあこや貝から肝を除去してかまぼこを製造した。あこや貝:ひおうぎ貝=5:5の割合で20℃にて7日間発酵した試料はpH4 まで低下し、凝固した。また、色調もL*値が約60と市販のかまぼこと同程度まで改善された。この試料のGABA含有量は160mg/100gであり、市販のGABA含有食品と同程度であった。試料を85℃で45分間加熱すると、食品衛生法で問題となる黄色ブドウ球菌、大腸菌は検出されず、一般細菌は300 個/g以下であった。色、におい、硬さ、味について嗜好検査を行った。特に評価が低かったものは、「生臭み」と「かたさ」であり、貝類特有の生臭みや、もろい食感が不快な印象を与えたと思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680533769216
  • NII論文ID
    130006955185
  • DOI
    10.11428/kasei.62.0.181.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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