転写抑制ドメインとタペート層特異的核内制御因子MS1を用いた雄性不稔シロイヌナズナの作出法

DOI
  • 伊藤 卓也
    理化学研究所・植物分子生物学研究室
  • 篠崎 一雄
    理化学研究所・植物分子生物学研究室
  • 高木 優
    産業技術総合研究所・ジーンファンクション研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Production of male-sterile <I>Arabidopsis</I> plants by using a transcriptional repression domain and tapetum-specific nuclear regulator <I>MS1</I>

抄録

シロイヌナズナ雄性不稔変異体ms1の原因遺伝子MS1は、四分子期にタペート層特異的に発現する。この変異体は、野生型で見られる細胞壁の蓄積が見られず、小胞子とタペート層が液胞化し、最終的に成熟花粉が全く形成されない。また、このタンパク質は核内制御因子であることが示唆されている。<br>そこで、強力な転写抑制領域であるSRDXをMS1の下流に繋いだ融合タンパク質が転写抑制因子として機能して、野生型シロイヌナズナの稔性を低下させるかどうかを調べた。発現のためのプロモーターは過剰発現能が高いことが望ましいことから、最初に、カリフラワーモザイクウィウス35Sプロモーターが機能するかどうか検討を行った。35S promoter-MS1コンストラクトをms1変異体に導入して不稔形質が相補されるかどうかを調べたところ、全く相補されなかった。このことは、35Sプロモーターが機能していないことを示している。そこで、MS1プロモーターを用い、MS1-SRDXを発現させることにした。このコンストラクト(MS1-SRDX)を野生型シロイヌナズナへ導入したところ、稔性が低下した形質転換体が多数得られた。この形質転換体は、ms1変異体と同様な表現型が観察された。しかし、ms1変異体の様に成熟花粉形成が完全に抑制された形質転換体は得られなかった。<br>以上の結果から我々は、新規な雄性不稔形質転換体の作製方法を提案する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680603761408
  • NII論文ID
    130006987169
  • DOI
    10.14841/jspp.2005.0.673.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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