乾燥ストレス下でのABA生合成欠損変異体<I>nced3</I>のメタボローム・トランスクリプトーム解析

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タイトル別名
  • Metabolic Profiling and Transcriptome Analysis of ABA Biosynthetic Mutant, <I>nced3</I> Under Drought Stress

抄録

アブシジン酸(ABA)は植物の乾燥ストレス応答や耐性の獲得に関わる重要な植物ホルモンである。これまで、乾燥ストレス下でABAが細胞内シグナル伝達や多くの遺伝子の発現誘導に重要な働きを行うことが報告されている。しかしながら、ABAが制御する代謝系に関しては、個別の研究のみで包括的な解析はあまり行われていない。そこで本研究では、乾燥ストレス下でABA合成が影響を及ぼす代謝物質のネットワークを明らかにすることを目的に、乾燥ストレス下でのABA合成を制御するシロイヌナズナNCED3の機能欠損変異体を用いて、トランスクリプトーム、メタボローム解析を行った。その結果、乾燥ストレス下で上昇する遺伝子の中、約50%の遺伝子がNCED3によって新規に合成されるABAの影響を受けていた。そして、それらのプロモーター配列上にはABA RESPONSIVE ELEMENT (ABRE)が高い確率で存在していた。またGC/MS・CE/MS解析の結果、乾燥ストレス下で増加するアミノ酸・中間代謝産物・糖の中、約90%の物質がABAの影響を受けていた。現在までに、プロリン代謝系、ポリアミン代謝系、分枝アミノ酸代謝系、リシン代謝系では遺伝子と代謝物質両方でABAによる影響を受けていることを明らかにした。今後はABA合成の影響を受ける代謝系と乾燥ストレス応答の関係をさらに追求していく予定である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680608845824
  • NII論文ID
    130006993667
  • DOI
    10.14841/jspp.2006.0.804.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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