関節リウマチにおける滑膜組織シトルリン化自己抗原の網羅的解析

DOI
  • 松尾 光祐
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門 横浜市立大学大学院医学研究科 運動器病態学
  • 向 陽
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門
  • 中村 洋
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門
  • 増子 佳世
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門
  • 遊道 和雄
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門
  • 野寄 浩司
    横浜市立大学大学院医学研究科 運動器病態学
  • 西岡 久寿樹
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門
  • 齋藤 知行
    横浜市立大学大学院医学研究科 運動器病態学
  • 加藤 智啓
    聖マリアンナ医科大学、難病治療研究センター 生体機能・プロテオーム制御部門

書誌事項

タイトル別名
  • Surveillance of Citrullinated Autoantigens of Synovium in Rheumatoid Arthritis

抄録

目的:関節リウマチ(RA)に特異的に認められる自己抗体の抗原として、近年いくつかのシトルリン化蛋白が報告されている。ところが、シトルリン化蛋白およびそれに対する抗体の病因論的役割はまだ解明されていない。この役割を明らかにするため、われわれはRA患者の関節滑膜組織に存在するシトルリン化自己抗原を、プロテオミクスの手法を用いて網羅的に解析した。 方法:手術中に得られたRAの滑膜組織から蛋白を抽出し、2次元電気泳動にて分離した。その後RA患者血清、抗シトルリン抗体、健常人血清を用いてWestern blottingを行い、シトルリン化自己抗原を検出し、質量分析器を用いて同定した。さらに、シトルリン化の有無が抗原性に与える影響を、同定した蛋白の一つF-actin capping protein alpha-1subunit (CapZα-1)を用いて解析した。 結果:抗シトルリン抗体にて37個のスポットを検出した。このうち28スポット(76%)はRA患者血清によっても認識され、シトルリン化自己抗原と考えられた。われわれは、28個のうち20個のシトルリン化自己抗原を同定した。このうち8個のスポットはシトルリン化自己抗原としてすでに報告されているフィブリノーゲン由来の蛋白であった。次に、同定された蛋白の一つCapZα-1の抗原性をシトルリン化の有無で調査した。その結果、抗CapZα-1抗体の発現頻度は、RAで36.7%、変形性関節症(OA)で10.7% 、健常人で 6.5%であった。一方、抗シトルリン化CapZα-1抗体の発現頻度はRAで53.3%と増加したが、OAでは7.1% 、健常人では 6.5%と有意な変化はなかった。また、RA患者の36.7%で、抗シトルリン化CapZα-1抗体の抗体価が抗CapZα-1抗体の抗体価より増加していた。CapZα-1のシトルリン化部位に対する抗体はRAに特異的であった。 結論:われわれは、プロテオミクスの手法を用いて、新たなシトルリン化自己抗原を同定した。このうちCapZα-1およびシトルリン化CapZα-1に対する抗体はRA患者に高頻度に認められた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680612581248
  • NII論文ID
    130006998433
  • DOI
    10.14889/jhupo.2006.0.34.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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