F344 ラットでみられた p,p'-DDT 投与による小球性貧血
書誌事項
- タイトル別名
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- p,p'-DDT induces microcytic anemia in F344 rats
説明
殺虫剤であるDDTはヒトにおいて貧血を誘発することが知られているが,げっ歯類を用いた実験データは極めて少ない。本研究で は,長期試験として,雄性F344ラットにp,p'-DDT を0, 5, 50, 500ppmの用量で13, 26, 52, 78, 104週間混餌投与した後に採血 し,血液学的検査を行った。さらに,初期変化を明確にするためにDDT 2週間混餌投与における血液学的変化も検討した。その結果, 500ppm群においてHt,Hb,MCV,MCHの有意な低下がほぼすべての週で認められ(ただし,RBC,MCHCに異常なし),DDTの長 期投与により小球性貧血が引き起こされることが明らかとなった。また,50ppm群においてもHbおよびMCHの有意な低下が52およ び78週投与後で認められた。一方,2週間投与後において網赤血球Hb含量(CHr),平均網赤血球容積(MCVr),平均成熟赤血球Hb濃 度(CHCMm)の低下が認められた。これらの変化に伴い,血漿鉄に変化は認められなかったものの総鉄結合能(TIBC),不飽和鉄結合 能(UIBC)の増加およびトランスフェリン飽和率(TSAT)の低下が認められたことから,DDTが鉄利用障害を引き起こし網赤血球のHb 含量および大きさを減少させた可能性が示唆された。さらに,鉄利用への影響を検討するため,DDT 2週間混餌投与後LPSを単回腹腔 内投与して鉄欠乏を誘発したところDDTの投与に関わらず,MCVr,CHrは著しく減少したが,LPS+DDTでは成熟赤血球MCV(MCVm) の減少も認められた。このことから,DDT投与では成熟赤血球が鉄欠乏の影響を受けやすく,長期投与でみられた小球性貧血のメカニ ズムを考える上で興味深いデータと考えられた。
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 37 (0), 388-388, 2010
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680635123840
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- NII論文ID
- 130007003481
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可