白杖の接触音・打撃音聴取による対象の硬さ知覚に関する実験的検討
説明
白杖ユーザは、白杖を利用しながら路面情報や障害物の有無を検知し、移動のための手がかりとなるランドマーク情報を収集・確認する。あらかじめ白杖ユーザに行った白杖利用に関するヒアリングでは、歩行時に利用するだけではなく、白杖に触れた対象の硬さやテクスチャーなどの特性を探ったり、対象の形や何であるのかと言った認知を行ったりといった、自分なりの利用方法を用いながら環境情報の取得を行っているという報告があった。白杖で触れることにより、対象のどの様な属性について知る事ができるのかを明らかにすることは、白杖を使いながら移動する視覚障害者の白杖利用範囲の拡大や環境デザインに資することが期待される。<BR> 著者らは、これまでに白杖による硬さ知覚に関する研究を進めてきた。これは、指や手で直接的に対象を触る時と白杖を利用して間接的に対象を触る場合の違いに関する基礎的な知見を得ることを目的とした研究の一つである。そこでは、アイマスクをした晴眼大学生と日常的に白杖を利用して単独歩行している全盲者を実験参加者として、マグニチュード推定法により利き手の人差し指の先と利き手で握った白杖の先のそれぞれで、ゴム板を1)叩く方法と2)押す方法で確認した場合のゴムの硬度と硬さ感覚の関係を明らかしてきた。この一連の実験研究を通して、白杖が対象に接触した際に生じる音が対象の硬さに影響している可能性が生じてきた。<BR> そこで本研究では、白杖を対象に当てた時に生じる音に着目し、白杖の接触(打撃)音を利用して、対象の硬さを判断できるかどうかについて検討する。そのため、次の様な心理実験を行う。まず、硬度の異なるゴム板に白杖を当て、その際に生じる音を録音する。この音を参加者に聞かせて、対象となるゴム板の硬さ判断をマグニチュード推定法によって行う。さらに録音された音を解析することで、ゴム板の硬度、ゴム板を叩いた時に生じる音情報、その音によって判断される硬さ感覚の関係を明らかにする。
収録刊行物
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- 視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
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視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 21 (0), 99-99, 2012
視覚障害リハビリテーション協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680655016960
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- NII論文ID
- 130005456797
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可