高齢者施設における「料理療法」の試み

書誌事項

タイトル別名
  • Introduction of cooking activities as a therapy for elderly people in Japanese nursing home
  • In case of senile dementia with hemiplegia
  • 片麻痺認知症高齢者を対象とした事例報告

説明

<BR>【目的】<BR> 高齢者にとって料理活動は、生活の中で繰り返されていたなじみのある作業である。多種類の工程・作業を含むため、各人が能力に応じた役割分担が可能である。このことは、日常生活における「役割」を再認識し、「自信の回復」につながり、認知症周辺症状の緩和効果も期待できる。このような「料理療法」の方法論の確立が本研究の目的である。今回は特に、片麻痺の認知症高齢者が継続的に参加した料理活動の介入調査をおこない、片手だけでも可能な調理操作や、料理支援方法、料理内容について考察を行った。<BR> 【方法】<BR> 介護老人保健施設の認知症専門棟入居者を対象として定期的に料理活動を行った。参加人数は1回に4~5名であった。管理栄養士、介護職、ボランティアで料理の援助をおこなった。援助者により、参加者の個別評価および全体の観察評価を行った。事例は、83才男性、左片不全麻痺、介護度4であり、重度の老人性痴呆であった。<BR> 【結果】<BR> 事例である片麻痺の対象者は、切る調理では、固い材料を切ることは困難であったが、青菜などやわらかい野菜では支援者が手を添えれば、切ることが可能であった。また固い材料を電子レンジで加熱しておく、安定しない形状のものは半分に切っておくなど、支援方法を工夫した。さらに皮むき器やはさみを使用するなど、道具を工夫することにより、可能な調理が広がった。グループでおこなう料理活動の進め方としては、片麻痺の方のように「出来ること」が少ない人から役割を決定すると、個々の対象者の能力に応じた役割分担が可能となった。さらに、料理内容についても考察をおこなった。今後もデータを積み上げ、高齢者が料理活動を行う場合に効果的な料理支援法の確立をおこないたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680667084672
  • NII論文ID
    130007011890
  • DOI
    10.11402/ajscs.19.0.43.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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