IH技術の導入による調理の進化
書誌事項
- タイトル別名
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- Evolution of cooking by Induction of IH Technology
- Fork and Spatula
- ―フォークとスパチュラ―
抄録
<BR> 近年、家庭におけるIH調理器の利用が大幅に普及している。すなわち、ガスによって加熱調理を行っていた多くの家庭が、電気によるIH(誘導加熱)で加熱調理を行うようになる。この家庭内調理における熱源の技術革新は、単に技術が変化したということだけには収まらず、調理器具、レシピ、生活スタイル、調理に関わる企業・人材など、直接的および間接的に、様々な方向に影響を及ぼしている。 <BR> 本研究では、近年、加熱調理で食物を混ぜたり、すくったり、ひっくりかえしたりする道具として、シリコン製で一体型のスパチュラが多く用いられている事実に着目する。この事実が、IH技術の普及を要因としていることを検証するのが目的である。分析には、ヘンリー・ペトロスキーによる、フォークの歯が4本になった理由を明らかにした方法論を応用する。ペトロスキーによれば、すでにあるデザインには常に失敗があり、それを利用する人の中でとくに思慮深かったり、独創的な人が、失敗を補正する良いデザインを生み出すと言う。 <BR> 分析の結果、スパチュラの普及の要因として次のような2点が考えられる。第一の要因は、ガスを熱源とする場合は、鍋肌に食物を当てることが最も熱効率が良いのに対し、IHを熱源とする場合には、鍋底に食物を当てることが最も熱効率が良くなる。このような違いにより、ガス調理で適切であった調理機器が、IH調理では失敗のある道具となり、失敗の補完としてスパチュラが多用されている。第二の要因は、ガス調理で火加減を調節するために作り手が鍋を動かすことが多くあったが、IH調理では、鍋はコンロに常に接して固定しなければならず、作り手が操作するのは混ぜたり、すくったり、ひっくりかえしたりする道具のみである。唯一の操作対象としてスパチュラが普及する。
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 20 (0), 38-38, 2008
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680667294976
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- NII論文ID
- 130007012265
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可