鶏ムネから揚げ調理における異なる加熱条件が肉の構造変化に及ぼす影響
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of frying conditions on structural change of fried chicken meat
説明
<BR>【目的】演者らは、異なる加熱条件で処理したから揚げの評価を行い、肉のジューシー感は加熱温度が大きく影響することを報告した。本報告では、加熱後の鶏肉タンパク質の変性状態、および組織構造変化を観察し、加熱温度が肉の構造変化に及ぼす影響について検討した。<BR>【材料と方法】鶏ムネ肉をカットして調味し、水、液卵、粉の順につけた後、中心温度70℃(70℃区)および80℃(80℃区)となるように160℃でフライした。また、より強い加熱条件である加圧加熱殺菌区(レトルト区)を設け、対照区として未加熱区を設けた。加熱後の肉タンパク質の変性状態は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加熱後の肉の組織構造を観察した。<BR>【結果と考察】DSCの測定結果より、未加熱区では56.0℃、64.7℃、および76.0℃にタンパク質の変性によるピークが見られた。70℃区では77.1℃にピークが見られたが、80℃区では88.0℃にごく小さなピークが見られたのみだった。一方、レトルト区にはピークは見られなかった。この80℃区にはなく70℃区で見られた77.1℃のピークは水溶性筋原線維画分とアクチンによるものと推定された。また、SEMの観察結果より、未加熱区では筋線維間の間隙はわずかだったが、加熱区のいずれも、その間隙が大きかった。また、80℃区は70℃区に比べて間隙にみられる像がより毛羽立ったような状態であった。以上より、異なる中心温度の鶏から揚げにおいて肉のジューシー感が異なったのは、タンパク質の変性状態と筋線維間の構造状態が異なるためであると考えられた。
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 21 (0), 1020-1020, 2009
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680667795328
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- NII論文ID
- 130007013049
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可