水煮または加圧加熱調理がサバ含有ビタミンB12の消化吸収に与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of boiling or pressure-cooking on digestion and absorption cobalamin compound from mackerel

説明

<目的> 調理された魚介類におけるビタミンB12(B12)含量については、5訂日本食品成分表に記載があり、B12はあまり損失していないとされている。しかし、調理された魚介類に含まれるB12の消化吸収率についてはこれまで報告がなく、興味が持たれる。そこで我々は、魚介類の中でもB12の主たる供給源の一つである“サバ”について、水煮(常圧加熱)および加圧加熱調理がB12の消化吸収率へ与える影響について検討した。<br><方法> サバは、常圧条件下(100℃)および加圧条件下(120℃)で0、20、60分加熱した後、遠心分離を行い、上清と沈殿に分けた。沈殿は胃内での消化を想定して試験管内においてHCl存在下でペプシンを30分間、37℃で反応させた。前述の上清試料および人工消化試験後の沈殿試料についてB12を安定化させるためにそれぞれシアノ化し、B12量を微生物法によって定量した。その定量結果を比較し、胃内の消化試験の後に増加するB12測定量を消化吸収されやすさの判断基準とした。<br><結果・考察> まず、水煮(常圧加熱)調理を行ったところ、人工消化試験をせずに測定されたサバ含有B12においては0分と比較し60分加熱してもほぼ変化が見られなかった。また、サバの人工消化試験後のB12の測定値は20分加熱では生の約2倍量、60分加熱によって生の約2.5倍量に増加した。一方、加圧加熱調理を行ったところ、人工消化試験をせずに測定されたサバ含有B12においては加熱時間が長くなるにつれて煮汁への溶出が増加し、60分加熱では約半分のB12が煮汁に溶出した。さらに人工消化試験後の測定値は20分加熱では約2倍量、60分加熱では約1.5倍量であった。これらの結果から、水煮(常圧加熱)および加圧加熱調理はサバのB12消化吸収を高めると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680667829888
  • NII論文ID
    130007013109
  • DOI
    10.11402/ajscs.16.0.127.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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