圧力移動凍結した性質の異なる二種類の寒天ゲルの物性と微細構造

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Texture and structure of pressure-shift-frozen ordinary and high visco-elastic agar gels.

説明

【目的】寒天ゲルは凍結損傷が大きく解凍後のテクスチャーが著しく悪くなる。高圧力下では0℃以下でも凍らない不凍域(液相)が存在し、200MPaで加圧後-18℃まで冷却し、この不凍域に食品を保持した後急激に圧力解除する(圧力移動凍結)と、急速凍結するため組織的に良好な状態を保つことができる。本研究は従来ゼリー材料として広く一般的に使用されている粉末寒天(寒天クック,伊那寒天)と近年市販されるようになった高粘弾性寒天(大和,伊那寒天)の冷凍耐性の違い、および圧力移動凍結がそれぞれのゲルに与える影響について検討を行った。<br>【方法】1.5%寒天濃度、0%、10%砂糖濃度の寒天ゲルを直径約20mm,高さ約140~150mmの円柱状の試料とし、食品高圧処理装置(Dr.Chef、神戸製鋼所製)を用いて約-20℃、0.1MPa、200MPaで63分間冷凍し、-30℃の冷凍庫で一夜保存後大気圧下で解凍した。冷凍庫中で冷凍後大気圧下で解凍したものと比較した。これらの物性をクリープメータ(山電製)で測定し破断強度解析を行った。また、氷結晶とゲルの微細構造をクライオ-SEMで観察した。<br>【結果】両寒天とも200MPaで圧力移動凍結すると、高圧処理中には凍結せず、圧力解除時に急速凍結しており、生成された氷結晶は小さくゲル全体に均一にできていた。解凍後の外観は良好で離漿は少なく、物性も未処理に近い値を示した。本研究のゲル作成条件では大和の高粘弾性はみられず、クックとほぼ同じ破断歪率であった。破断応力は大和の方が小さく,低強度のケルであることが分かった。解凍後のゲルを比較すると、外観、離漿率、物性ともに大和の方が良好な状態を示し、大和の方が冷凍耐性が良いことが分かった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668571008
  • NII論文ID
    130005044227
  • DOI
    10.11402/ajscs.25.0.207.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ