魚に含まれるリン量の茹で調理による変化

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タイトル別名
  • Changes of phosphorus content in fishes during boil cooking

抄録

【目的】リンはほぼすべての食品に含まれており、特に動物性食品に多いため、慢性腎不全患者にとって過剰摂取には注意が必要な栄養素である。食品中のリンを低減する方法として、茹で調理がある。野菜類、肉類で茹で調理によるリンの低減効果を調べた報告は散見されるが、日本人の摂取頻度の高い魚について実測した報告はほとんど見当たらない。そこで我々は、魚の茹で調理によるリンの低減効果について調べた。<br />【方法】実験材料はカラスカレイ、ギンザケ、アカウオ、ブリの切り身を用い、約3×5×2cmのブロック状に整形したものと、ブロックと同じサイズのものを厚さ5mm(6切れ)にスライスしたものを試料とした。また表面積とリン溶出との関係を見るため、ブリを厚さ1cm、5mmにスライスしたものを比較した。いずれの試料も茹で時間は10分とした。それぞれの試料は日本食品標準成分表の測定法に従い、乾式灰化後、塩酸抽出を行い、バナドモリブデン酸吸光光度法にてリンを定量した。<br />【結果】茹で調理により、リンはすべての試料においてブロックでは生の20~34%減少し、5mmスライスでは30~53%減少した。茹でている間に身崩れを起こしたサケ、カラスカレイではリンの減少が大きかった。茹で最中に全く身崩れを起こさなかったブリを用いて、スライスの厚さを変えて茹でたところ、5mmにスライスしたほうがリンの溶出は大きかった。これらのことから、リンを効率よく低減するには表面積を大きくして茹でることが有効と考えられる。しかしながら、魚は重要なたんぱく質源食品であり、今後は茹で調理によるタンパク質の変動についても調べる予定である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680669417856
  • NII論文ID
    130006035215
  • DOI
    10.11402/ajscs.29.0_88
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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