未利用魚の調理・加工適性

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タイトル別名
  • Cooking and processing properties of unused fish

抄録

【目的】非食用に回されたり低い価格でしか評価されない「未利用魚」を有効活用しようとする動きが全国各地で広まっている。我々は,徳島県海部郡海陽町鞆浦漁業協同組合との共同研究に取り組んでおり,鞆浦漁協の名物である大敷網漁(11月~6月)で水揚げされる未利用魚の有効活用(6次産業化を含め)を検討してきた。本研究では,鞆浦漁協における大敷網漁で水揚げされた未利用魚の消費・活用の拡大を図ることを目的として調理・加工適性を検討した。<br><br>【方法】水揚げされた未利用魚の中からシイラ,マンボウ,ニザダイ,クロサギ,イスズミを試料とし調理・加工特性を考慮して活用方法を検討した。水揚げ後は,ドレスあるいはフィレ状態で冷凍貯蔵し,使用時に解凍して用いた。調理・加工方法は,すり身としてナゲット,饅頭,せんべい,クッキー,ほぐし身にしてふりかけ,フレーク,サイコロ状にしてトマトソース,そして,薄切りにしてくん製品への活用を検討した。各試作品については,官能評価により総合的な品質評価を行った。<br><br>【結果】シイラは,脂肪分が少なく淡泊な味であるため,身をサイコロ状,すり身,ほぐして使用するなど様々な形態や味付けでの活用が可能であることが示唆された。マンボウは,水分含量が高く加熱により独特の食感が生まれたため,これをうまく活用することが有効であると考えられた。しかし,絶滅危惧種リストに登録されたこともあり,今後の活用は難しいと思われた。ニザダイ,クロサギ,イスズミについては,臭みがあり調理・加工方法において,香辛料や香味野菜を利用するなどの工夫が必要であった。特に,イスズミは,臭みが強く新たな調理・加工方法の検討が必要であると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670742656
  • NII論文ID
    130005264187
  • DOI
    10.11402/ajscs.28.0_150
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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