豪雨抑制を目的としたクラウド・シーディングの効果・検証とその抑制メカニズムに関する数値実験

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タイトル別名
  • Numerical simulation about the effect and verification and control mechanism of cloud seeding aiming at torrential rain control

抄録

近年,気候変動により,局地的集中豪雨や水資源の偏在化による旱魃など,異常気象災害が地球規模で増加しつつあることが危惧されている.一方,1940 年以降,クラウド・シーディングを用いた人工降雨技術の実験や研究が開始され,これまでに世界の40 カ国以上で数多くの人工降雨プロジェクトが実施されている.また,これまで実施されたプロジェクトの大半は社会業務的要請によるもので,その効果の検証や科学的根拠が不十分なまま実施されており,人工降雨・降雪技術の基盤を築くための基礎的総合的研究の実施を求められている.そこで,本研究では,シーディングによる豪雨抑制効果の評価・検証を行うため,メソ気象モデルWRF を用いて,シーディングを行う高度,領域など様々な実施条件を考慮した実験的なシミュレーションを行い,雨域面積や時間降水量の変化等の複数の観点から,シーディングによる降水システムへの影響の有無や大小を解析した.また,その結果から氷晶数濃度や霰の増減などに着目して,シーディングによる抑制効果と促進効果の物理的メカニズムの違いについて解析を行った.その結果,シーディングにより,12 時間積算降水量のピーク領域の雨域面積が抑制されることや,最大時間降水量,また時間積算降水量のピーク領域の雨域面積が抑制されることを確認することができた.全事例の結果からみると,最大降水量が増加したケースよりも減少したケースのほうが多く,豪雨に対するシーディングは,降水促進よりも抑制の効果を持ちやすい場合があることが分かった.シーディングにより豪雨が抑制されたケースでは,シーディングを行った直後に氷晶数濃度が増加するとともに,潜熱の影響によって高高度で上昇気流が発生し,鉛直方向(シーディング高度より高高度)に広がっていることが確認された.また,その氷晶が風上側から風下側へ流されることによって,降水粒子の移動・拡散をもたらしたことが豪雨抑制の主な要因であることが分かった.<br> 

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680688854400
  • NII論文ID
    130005481974
  • DOI
    10.11520/jshwr.27.0_100077
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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