成長機構から見た接触双晶と貫入双晶
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- 砂川 一郎
- 山梨宝美専
書誌事項
- タイトル別名
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- Contact and interpenetration twins seen from the growth mechanism
説明
接触双晶と貫入双晶は別種のものとして区別されてきた。エネルギー的考察はあっても,その形成機構について十分な解析は今までなされてこなかった。マクロにみて2個体間で双晶面(TP)ないし双晶軸(TA)に垂直な面と接合面(CP)が同じで、低指数結晶面に相当するとき接触双晶、2個体が貫入関係をとりCPが不規則ないし高指数面のとき貫入双晶とされてきた。CPが比較的低指数面のときには両者の区別にしばしば混乱が起こっていた。双晶は2個体の接合で生まれる。2個体が双晶関係で接合する確率が最も高いのは平らな結晶面(PBC解析で F面)同士での接合で、稜、隅での接合の確率は遙かに低い。最初に接合した面をOriginal Composition Plane (OCP)とすると、OCP=CP(=TP)またはOCP= ⊥CP(=TA)の関係が永続すれば接触双晶、この関係が破れて1方の個体が他の個体に侵略すれば貫入双晶になる。この関係を維持する機構として凹入角効果がある。凹入角が1,2カ所のときには凹入角は永続するが、3カ所以上では関係が破れる可能性がある。凹入角効果が消え、かつ晶癖変化が起こると1方の個体が他方の個体に侵入する可能性が生まれ、接触双晶として始まった双晶が結果として貫入双晶になる。F面同士なら異なった結晶面間でも接合が起こり得るので、このときにも、貫入双晶が出来る。この目で、既知の成長双晶を解析すると、いずれもまず接触双晶として生まれ、成長に伴われてマクロな接触または貫入双晶になることがわかる。具体例として石膏、輝石、赤鉄鉱、ダイヤモンドなどにみられる接触双晶、ほたる石や方鉛鉱、ダイヤモンドのキューボイドなどにみられる貫入双晶、長石や十字石にみられる貫入双晶などを解析する。水晶の日本式双晶ではOCPは{1011}であるが2個体の関係からCPが{1122}となるため、接触か貫入か混乱のもとになっていた。先に出来た高温型相が相転移により双晶ドメインをつくり、それを種にして低温型相が成長する場合に限り、最初から貫入双晶ができる。
収録刊行物
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- 日本鉱物学会年会講演要旨集
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日本鉱物学会年会講演要旨集 2004 (0), 51-51, 2004
一般社団法人 日本鉱物科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680709608960
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- NII論文ID
- 130007040127
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可