薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome)の臨床病理学的検討

  • 福本 大輔
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚皮膚運動系病態医学講座皮膚科学分野
  • 安齋 眞一
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚皮膚運動系病態医学講座皮膚科学分野
  • 久保 宜明
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚皮膚運動系病態医学講座皮膚科学分野
  • 広瀬 憲志
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚皮膚運動系病態医学講座皮膚科学分野
  • 松立 吉弘
    徳島赤十字病院皮膚科
  • 浦野 芳夫
    徳島赤十字病院皮膚科
  • 荒瀬 誠治
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚皮膚運動系病態医学講座皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Clinicopathological Study of Drug-induced Hypersensitivity Syndrome (DIHS)
  • ヤクザイセイ カビンショウ ショウコウグン Drug induced hypersensitivity syndrome ノ リンショウ ビョウリガクテキ ケントウ

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説明

過去10年間に徳島大学皮膚科およびその関連施設において薬剤性過敏症症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome:以下DIHS)と診断した症例のうち病理組織標本の再検討ができた22症例について,その臨床病理学的データを検討した.22例の内訳は,男性17例,女性5例,初診時年齢は,17歳~87歳で,平均58.2±20.3歳であった.原因薬剤としては,カルバマゼピン12例,ゾニサミド6例,フェノバルビタール,メキシレチン,アロプリノール,サラゾスルファピリジンが各1例ずつであった.原因薬剤内服後発症までの期間は平均5.18±1.8週で,発症後生検までの時期は平均13.2±19.0日であった.病理組織像をI型(角化細胞の壊死がなく,表皮内の海綿状浮腫あるいは表皮基底層の空胞変性を伴うもの),II型(角化細胞の壊死があり,苔癬型組織反応を伴わないもの),III型(角化細胞の壊死があり,苔癬型組織反応を伴うもの)の3つに分類した.II型10例(46%),III型4例(18%),I型8例(36%)であった.3群間で初診時年齢,原因薬剤内服後から発症後生検までの期間について比較検討したが,統計学的に有意差があったのは,I型とII型の間の初診時年齢のみであった.それ以外の項目では,統計学的に有意差は確認できなかった.DIHSでは通常型の薬疹に比べ,表皮角化細胞の壊死を伴う率が高かったが,DIHSにのみ見られる特異的な病理組織学的所見やDIHSの症例すべてに共通してみられる所見は確認できなかった.以上のことから,病理組織像のみからDIHSの診断や,DIHSとそれ以外の薬疹あるいはウイルス性発疹症を鑑別することはできないと考えた.病理病型としては,III型が最重症であり,ついでII型が重症である可能性が示唆された.

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参考文献 (8)*注記

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