高齢者の口腔機能が,栄養摂取に与える影響

  • 池邉 一典
    大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴学高齢者歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Impact of oral function on nutritional intake in the elderly people
  • コウレイシャ ノ コウコウ キノウ ガ,エイヨウ セッシュ ニ アタエル エイキョウ

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説明

高齢者では,健康を維持し,食生活を楽しむためには,咀嚼機能がきわめて重要である.本論文では,高齢者の口のはたらき,すなわち口腔機能が,栄養摂取,さらに健康に与える影響について,これまでのエビデンスを中心に紹介した.まとめると以下の様になる.<br>1.加齢とともに歯数は減少し,個人差も大きくなる.また,咬合力,味覚などの口腔機能が低下する.<br>2.歯の数は,寿命に関係する様々な因子の影響を調整した上でも,長寿と関係がある.その歯と生存期間を結ぶ経路として,口腔機能低下による栄養摂取の変化が考えられる.<br>3.歯を失うと野菜類の摂取量が減少し,抗酸化ビタミンや食物繊維などが不足し易い.また,タンパク質の摂取も減少する.<br>4.要介護高齢者では,咀嚼や嚥下機能は低栄養と関連がある.<br>5.我々の研究より,歯数より咬合力の方が栄養摂取(ビタミン,食物繊維,タンパク質)や運動機能に関連することが示された.

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