視覚性のなかの文学

書誌事項

タイトル別名
  • Visuality and “Literary Imaginative Powers”
  • 視覚性のなかの文学--江戸川乱歩「鏡地獄」の世界
  • シカクセイ ノ ナカ ノ ブンガク エドガワ ランポ カガミ ジゴク ノ セカイ
  • ――江戸川乱歩「鏡地獄」の世界――

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抄録

<p>真に文学的な想像力とはどのようなものなのだろうか。文学は言語を媒介とする表現様式と認知されているが、読書行為の推移のなかで見出される非言語的なイマージュの躍動に対して、文学研究においてはこれまで「表象」化という概念に貼りつかせて、言語的行為と捉えてきた。しかし、G・ドゥルーズが指摘するように、言語を超えてイマージュそのものを身体的に感知する「精神的自動機械(automate spirituel)によって見出す「外の思考」をここで考えていくならば、非言語としての図象的想像力とは、あらゆる思考の生産のなかに発動の契機を持つであろう。そしてその中で文学によってしか存立しない想像力、「文学的想像力」としか名付け得ない領域が開かれているのではないかと考えている。</p><p>本発表ではその立場から、想像力が言語、非言語に関わらず喚起されていく経緯を現代文学作品から考察し、特に視覚性(Visuality)という身体の経験との往還によって見出される想像力が、文学のなかに基層的に封じ込められていることに言及したい。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 60 (4), 2-15, 2011

    日本文学協会

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