若紫の風景

書誌事項

タイトル別名
  • The Scene of "Wakamurasaki"
  • ワカムラサキ ノ フウケイ

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抄録

若紫巻北山に展開する情景には、何か思わせぶりな記号性が浮上するようである。源氏を治療する聖が瀕死のイメージで洞窟から現われねばならなかったのは、源氏の死と再生の助産役を型取るものであろうし、若紫君を中心に源氏にも変換して浮上するかぐや姫記号群は、物語を方向づけ、その始動の原動力になっていようし、遊仙窟の影響もあり、以上全過程で侵入ないし浮上する記号性なる他者を捕食する、作者の強靭な創造力が観察される。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 37 (5), 14-23, 1988

    日本文学協会

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