人工ZnSの浮遊性に及ぼす銅イオンの影響

書誌事項

タイトル別名
  • The Effects of Copper Ion on the Floatability of Artificial Sphalerite
  • ジンコウ ZnS ノ フユウセイ ニ オヨボス ドウ イオン ノ エイキョウ

この論文をさがす

抄録

人工ZnSを用い, その浮遊性に及ぼす銅イオンの影響を主として液相吸着の面から検工討した。実験はB-E-T法比表面積測定 (窒素ガス使用), 銅イオンによる活性化, 活性化されないZnS及び銅イオンにより活性化されたZnS試料に対するK-E-Xの吸着量測定及び浮選実験等について行われた。結果を要約すると次のようである。<BR>1) 銅イオンは人工ZnS結晶の平均約7分子層深さまでの亜鉛を置換し, かつ交換された銅イオンは水洗しても溶出しない。銅イオンの交換によつて生じた生成物をX線的には検工出出来なかつた。<BR>2) 未活性ZnSも銅イオンによる活性化ZnSも, 何れも最密単分子層完結までK-E-Xを吸着するが, 前者は水洗によつて脱着が見られるに反し後者は脱着が認められない。天然試料の場合, 未活性閃亜鉛鉱はK-E-Xを僅かしか吸着しないとされており, この点人工ZnSとの相異が考えられる。<BR>3) 浮選試験 (捕収剤K-E-X使用) の結果, 未活性ZnSは浮遊し難いが活性化ZnSは著しく浮遊性を増す。このような相異は, 吸着実験における脱着現象と対比して, 未活性ZnSと活性化ZnSの表面におけるK-E-Xの吸着状態に相異があるためと考えられる。また浮鉱率は少量の銅イオンの被覆によつて急激に増加し, 単分子層被覆において最大浮鉱率が得られる。

収録刊行物

  • 日本鑛業會誌

    日本鑛業會誌 75 (851), 327-330, 1959

    一般社団法人 資源・素材学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ