日本語におけるビッグ・ファイブとその心理測定的条件

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タイトル別名
  • Big five and psychometric conditions for their extraction in Japanese
  • ニホンゴ ニ オケル ビッグ ファイブ ト ソノ シンリ ソクテイテキ ジョウケン

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抄録

本研究の目的は,語彙アプローチによって日本語におけるビッグ・ファイブを導くことである.かつてのSD法におけるEPA構造の普遍性の問題から推測すると,ビッグ・ファイブを得るための心理測定的条件は,1.用語の熟知度や使用頻度が高いこと,2.用語の分散が大きく,評定値が中央付近に位置すること,と推測される.分析1では村上(2002)の基本的な性格表現用語から原則として抹消率13%以下の用語を収集し,同義語と反意語を整理し,554語を調査対象とした.被験者は大学生男性150名,女性220名の計370名であった.分散の高い317語を選択して対角成分にSMCを入れて30因子まで抽出した.スクリー法で因子数を5と定め,オーソマックス回転を施すと,外向性(E),協調性(A),勤勉性(C),情緒安定性(N),知性(O)のビッグ・ファイブが得られた.語彙アプローチ研究によって日本語でもビッグ・ファイブが得られることが証明された.分析2では各因子の因子負荷量の大きな20語を抽出し,100語でビッグ・ファイブ構造を再確認し,各因子ごとに主因子法とオブリミン回転を適用し,側面因子を求めた.結果は,外向性では活動性,閉鎖性,自制,協調性では妬み,怒り,身勝手,勤勉性では親切さ,ねばり強さ,従順さ,情緒安定性では活動力,楽観性,知性では小心さ,愚かさ,意志薄弱の側面因子が得られた.日本語でのビッグ・ファイブは,細部では英語圏の内容と異なっている可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 性格心理学研究

    性格心理学研究 11 (2), 70-85, 2003

    日本パーソナリティ心理学会

被引用文献 (5)*注記

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