ゼテキトキシンABの合成研究

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  • Synthetic Studies on Zetekitoxin AB

抄録

<p>【目的】</p><p> ゼテキトキシンAB (ZTX, 1)はパナマ産矢毒ガエルAteropus zetekiから単離された貝毒サキシトキシン (STX, 2)の類縁化合物であり、STXの約100〜1000倍強力な電位依存性ナトリウムチャネル (NaVCh)阻害活性を示す[1]。ZTX (1)の構造はSTX (2)の基本骨格、即ち三環性ビスグアニジン骨格に加え、6-11位に架橋したイソキサゾリジンを含む渡環ラクタム構造や7位にN-ヒドロキシカーバメート基等、他のSTX類には存在しない特徴的な官能基を有する。このことからZTX (1)の強力なNaVCh阻害活性はこれらの特異な構造や官能基に起因すると考えられる。我々はその特異な構造に着目してZTX (1)の合成研究を行い、1の主炭素鎖を有する36を合成したので報告する。</p><p>【合成計画】</p><p> ZTX (1) の逆合成解析をScheme 1に示した。 ZTX (1)に特徴的な渡環ラクタム構造は、3のC11位側鎖上に存在するイソキサゾリジンとC6位カルボン酸との分子内アミド化反応により構築できると考えた。また、3のイソキサゾリジンはニトロン4とアクリル酸誘導体との1,3-双極子付加環化反応によって合成することを計画した。さらに、4の前駆体としてC11位に四級炭素を有するSTX骨格5 を設定した。5は我々が以前報告したSTX (2)の合成法を基盤に合成できると考えた[2]。即ち、ニトロン8とニトロオレフィン9の1,3-双極子付加環化反応を基盤に得られる7の全ての水酸基をアシル化した後、低温条件下でルイス酸を作用させることで5を得ることを計画した。本手法は穏和にグアニジンを環化することができるため、官能基が脱保護されることなくSTX骨格を構築できる。</p><p> </p><p>Scheme 1. ZTX (1)の合成計画</p><p>【ニトロン8の合成と1,3-双極子付加環化反応】</p><p> まずニトロン8の合成について検討した (Scheme 2)。8を合成するにはC11位四級炭素の立体選択的な構築と位置選択的なニトロンへの酸化が必要となる。C11位に四級炭素を有する11を合成するため、L-酒石酸から誘導したピロリジン10に対する酢酸エステルを用いたアルドール反応を行った。その結果、塩基としてNaHMDSを用いて-78 °Cで反応させることで、 7:1の選択性でC11位四級炭素を構築することができた。なお、11は再結晶を行うことにより単一のジアステレオマーとして得ることができた。次いで、11のTs基を脱保護した後、得られた12に対するDavis試薬を用いたニトロンへの酸化を行った。その結果、13aを用いた場合には8及び14の選択性は2:3であったが、芳香環上に電子吸引基を有する13bを作用させたところ、選択性は1:1まで向上した。なお、これら2つの生成物は分離することは困難であったため、混合物のまま次の反応に用いることとした。8と14の混合物に対しニトロオレフィン9を作用させ1,3-双極子付加環化反応を行ったところ、15を収率43%、16を収率15%、さらに9と未反応の14を収率22%で得た。本反応では立体障害の少ない8から優先的に生成物が得られたと考えられる(遷移状態TS-1)。なお、回収した14はヒドロキシ</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681055558400
  • NII論文ID
    130006470669
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.55.0_posterp-1
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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