Reflechir sur le traduire pour mieux apprendre a traduire(N^o 1 Etudes didactiques)

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  • Reflechir sur le traduire pour mieux apprendre a traduire

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説明

本稿では,日本の大学のフランス語フランス文学教育の現場において「翻訳」がどのように位置づけられているかを概観した上で翻訳教育の新たな授業法を提案する。伝統的な講読の授業では翻訳は原文の理解を目的として行われ,翻訳作業自体は内容把握のための手段にすぎない場合が多い。われわれは,翻訳作業に入る前に,フランス語原文と既存の複数の翻訳テクストとの比較を行うことによって,学生たちに「翻訳行為についての反省」をあらかじめ実践させることを提案する。モデルケースとして取り上げるのは,モーリス・ルブランの『奇巌城』のフランス語原文とその三つの翻訳である。テクストはすべて電子化し,対訳コーパスを扱うことのできるアプリケーションを用いて比較作業に不可欠な並列表示をできるようにしておく。ICT環境のさまざまな利点を活用することで,学習者は全体的な観察からより詳細な分析へと比較を進めながら,原文と訳文との様々な水準での違い,また訳文間の違いについても理解を深めることができる。対訳コーパスに基づくこうした授業法が目指すのは,学習者が「翻訳」を理論的に学ぶことであり,具体的には,原文のなかで特殊な意味を持つ表現や日本語に訳す際に繰り返し問題となる点に注目し,それを複数の訳文のなかで比較し,観察し,考察を深めていくことで達成される。

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