ニホンナシの不和合性における柱頭の関与

書誌事項

タイトル別名
  • Pollen-Stigma Interaction Which Might Be Critical to the Gametophytic Incompatibility of Japanese Pear
  • ニホンナシの不和合性における柱頭の関与〔英文〕
  • ニホンナシ ノ フワゴウセイ ニ オケル チュウトウ ノ カンヨ エイブン

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抄録

ニホンナシの自家不和合性について知見を広めるために, 二, 三の基礎的実験を行い, 以下の結果を得た.<br>1. 開葯直前の′幸水′に除雄を行って自家ならびに他家受粉(′長十郎′花粉を受粉)を行い, 受粉後6時間内における花粉の発芽を観察した. その結果, 他家受粉では花粉は順調に発芽し花粉管が柱頭内に侵入しているのに対し, 自家受粉では柱頭上にごくわずかの花粉しか見当たらず, 柱頭内に侵入している花粉管の数もごく少数であった.<br>2. 開葯期の′幸水′ならびに′長十郎′の花蕾を除雄し, 自家ならびに他家受粉を行った後, 経時的に固定保存し, プレパラートを作って柱頭に付着残存している花粉の数を調査した. その結果, ′幸水′では受粉後3時間において, 他家受粉区の付着花粉数が自家受粉区のそれを大きく上回ったが, その時間が経つとともにその差は少なくなり, 受粉後12時間ではほぼ同数となった. ′長十郎′では, 受粉後6~12時間において他家受粉区の付着花粉数が自家受粉区のそれを大きく上回った.<br>3. 受粉後早期における′幸水′雄ずい内の可溶性タンパクを等電点電気泳動を用いて分析した. その結果, 受粉後3時間の子房のバンドパターンに自家受粉区と他家受粉区の間で明らかに差が認められた.<br>以上のことから, ニホンナシの不和合性の発現に柱頭がある種の役割を果たしていることがうかがわれた.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 59 (1), 83-89, 1990

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (12)*注記

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