異なるとろみ調整食品でとろみづけした飲料を用いた簡易粘度評価方法の比較

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  • Comparison of Simple Evaluation Methods for Thickened Liquids with Different Thickening Agents
  • コトナル トロミ チョウセイ ショクヒン デ トロミズケ シタ インリョウ オ モチイタ カンイ ネンド ヒョウカ ホウホウ ノ ヒカク

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抄録

<p>【目的】学会分類2013(とろみ)は3段階に分類され,各段階のとろみの程度について文言による性状の説明だけではなく,ずり速度50 s-1 における粘度および簡易粘度評価方法であるLine Spread Test(LST)の値も示されている.しかし,LST では異なる種類のとろみ調整食品を用いてとろみづけした試料や,とろみつき栄養剤を評価した場合には,口腔におけるとろみの官能評価と相関しないことが報告されている.LST 以外にもロート法やシリンジ法が簡易粘度評価方法として報告されており,これらのうちいずれがとろみの評価方法として適当であるかを比較検討した.</p><p>【方法】キサンタンガム系 (X),グアーガム系 (G),デンプン系 (S) のとろみ調整食品を用いてずり速度50 s-1 における粘度が50, 150, 300, 500 mPa・s 程度になるように市販の果汁20% オレンジジュースにとろみづけしたものを試料とした.LST は学会分類2013 に示された方法に従って実施し,測定板中央からの試料の到達距離を読み取った.ロート法は,ロートに注入した 30 mL の試料がロートから流出する時間をストップウォッチで計測した.シリンジ法は,筒先を下にして指でふさぎ 10 mL の目盛まで試料を入れ,指を外して試料を流出させて10 秒後の試料の残存量を読み取った.簡易評価の妥当性を検討するためにずり速度1, 5, 10, 50, 100, 500, 1,000 s-1 における粘度測定,および,口腔内での官能評価を実施した.</p><p>【結果】LST では,同じとろみ調整食品を用いて粘度を変えて調製した試料を比較した場合には,粘度が高いほど到達距離が短かった.しかし,高粘度の G の試料は,低粘度の X や S の試料より到達距離が長かった.ロート法では,とろみ調整食品の種類によらず粘度が高いほど流出時間が長くなった.シリンジ法の場合,粘度が高いほど残存量が多い傾向がみられたが,高粘度のGの試料のほうが低粘度のXの試料よりも残存量が少なくなることがあった.</p><p>【結論】本研究で検討した試料に対し,ロート法がとろみの簡易評価方法として適していた.</p>

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