マウスにおける自閉スペクトラム発現の行動指標

  • 掛山 正心
    早稲田大学人間科学術院環境脳科学/重点領域研究機構環境医科学研究所
  • ベナー 聖子
    東京大学医学部附属病院こころの発達診療部/精神神経科
  • 藤原 昌也
    早稲田大学人間科学術院環境脳科学/重点領域研究機構環境医科学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Mouse behavioral indices for autism spectrum phenotypes
  • マウス ニ オケル ジヘイスペクトラム ハツゲン ノ コウドウ シヒョウ

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説明

自閉スペクトラム関連症状を想定してマウス実験で広く用いられている行動テストを概観し,また我々の新たな行動テストについても触れながら,マウスの行動表現型や行動指標が精神医学上,果たしてヒトに外挿できるかどうかについて考察する。これまで,社会的コミュニケーションと社会的相互作用の障害に相当する行動テストとしてはソーシャル・インタラクションテストや超音波発声の多寡が用いられてきた。興味の限局と反復行動については常同運動や反復的毛づくろい行動の頻度,そしてT迷路やモリス水迷路による逆転課題等が一般的である。しかしこれらは,必ずしも研究室間や研究室内で再現性が確保されているわけではないことも指摘がなされつつある。我々は最近,マウスの意識レベルでの行動柔軟性を定量化する行動テスト,競争状態でマウスがみせる行動パターンを定量化する行動テストを開発した。そもそもマウスは,ヒトASD症状で問題となるような高度な社会性行動を発揮しうるのか,そして興味の限局・こだわりの強さといった意識レベルの柔軟性を持ち合わせているのかを考察し,マウスモデルとマウス行動指標の意味を議論する。

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