タマネギ催涙因子合成酵素(LFS)の発見の経緯とその応用
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- 今井 真介
- ハウス食品グループ本社(株)
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説明
最初に人を笑わせ,そして考えさせる研究に贈られるイグ・ノーベル賞を2013年に受賞したが,その対象研究が「タマネギ催涙因子合成酵素(lachrymatory factor synthase:LFS)の発見」であった.<br>タマネギを切ると涙が出てくることは誰もが知っている現象であり,催涙性因子(lachrymatoryfactor:LF)が生成する反応機構に対して,疑いを抱く研究者は筆者も含め誰もいなかった.しかし,トラブルの原因究明という全く別の研究を行っている過程で,LFの生成に必須の酵素が見逃されていると気付き,幸運にもこのLFSを発見するに至った.LFSはタマネギ中に多く含まれているタンパク質の 1 つで,誰にでも精製やクローニングは可能であった.そのため,論文が掲載された後「old-fashioned biochemistryを使った研究で新しい物が見付かった」とNatureのNews Blogで紹介していただいた.<br>研究過程で遭遇する予想外の実験結果に興味を持ち,少しだけ余計な実験をしてみると,思いがけない発見があると感じた.そんな経験をここではご紹介したい.
収録刊行物
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- ファルマシア
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ファルマシア 51 (2), 140-142, 2015
公益社団法人 日本薬学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763037962368
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- NII論文ID
- 130007447951
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- ISSN
- 21897026
- 00148601
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可