弓状核特異的<i>Kiss1 </i>KOラットを用いたGnRHパルス発生機構の同定
書誌事項
- タイトル別名
-
- Identification of gonadotropin-releasing hormone pulse generator by the generation of arcuate-specific <i>Kiss1</i> knockout rats
抄録
<p>哺乳類の生殖機能は,視床下部のキスペプチンニューロンにより第一義的に制御される。弓状核および前腹側室周囲核(AVPV)に局在するキスペプチンニューロンは,それぞれ性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)パルスおよびGnRHサージ発生機構として,卵胞発育および排卵を制御するとの説が有力である。一方で,この説の実験的な証明には至っていない。本研究では弓状核特異的にキスペプチン遺伝子(Kiss1)をinducibleにノックアウト(KO)したラットを作出し,GnRHパルスへの影響を検討した。Creリコンビナーゼ依存性にKiss1をKOできるKiss1-floxedラットを作出した。成熟雌Kiss1-floxedラットの性周期を膣垢像観察により確認し,弓状核にCreリコンビナーゼ発現アデノ随伴ウイルス(AAV-Cre)を投与した。投与2週間後に卵巣除去およびエストロジェン代償投与を施し,その1週間後に6分間隔3時間の採血を行い,GnRHパルスの指標として,黄体形成ホルモン(LH)の分泌動態を解析した。採血の翌日に脳を灌流固定し,Kiss1 mRNA発現をin situ hybridizaitonにより解析した。AAV-Cre投与前のKiss1-floxedラットは4〜5日周期の正常な性周期を示した。AAV-Creを投与した動物において,弓状核のKiss1発現細胞数が減少し,その減少に従い,平均血中LH濃度,LHパルスの頻度および振幅が減少する傾向を認めた。ほぼ全ての弓状核Kiss1発現が消失した個体は,LHパルスが消失し,血中LH濃度はほとんど検出限界値以下であった。一方,全ての個体のAVPVにおいてKiss1発現細胞を認めた。以上の結果より,弓状核キスペプチンニューロンがGnRHのパルス状分泌を制御するGnRHパルス発生機構である可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
-
- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
-
日本繁殖生物学会 講演要旨集 111 (0), OR2-25-OR2-25, 2018
公益社団法人 日本繁殖生物学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282763048282624
-
- NII論文ID
- 130007488512
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可