被災下水処理場の暫定処理後の塩素消毒による指標微生物の不活化と生態毒性

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of Chlorination on Temporary Wastewater Treatment in Earthquake Damaged Wastewater Treatment Plants by Inactivation of Indicator Microorganisms and Toxicity
  • ヒサイ ゲスイ ショリジョウ ノ ザンテイ ショリ ゴ ノ エンソ ショウドク ニ ヨル シヒョウ ビセイブツ ノ フカツカ ト セイタイ ドクセイ

この論文をさがす

説明

<p>東日本大震災に伴う大津波の被災下水処理場で,下水処理に復旧するまでの暫定処理が行われたが,その処理水に対する塩素消毒効果及びその生態毒性を,復旧した標準活性汚泥法による生物処理水と比較することで,暫定処理と塩素消毒の効果と課題を検討した.本研究は,復旧段階として暫定処理が実施されていた期間に,現地の処理水を用いて行った.未生物処理下水 (流入水/初沈越流水) ,接触酸化処理水を採水し,実験室で塩素消毒した.その結果,大腸菌群を2log不活化するのに必要なCT 値は,全ての暫定処理水で生物処理水より大きく,塩素消費量は,未生物処理下水が,生物処理水の最大23倍であったが,接触酸化処理水では最大4倍であり,接触酸化法の実施により,塩素消毒効果の改善が見られた.一方,発光細菌 (Microtox®) 試験の結果から,未生物処理下水及び接触酸化処理水では毒性が見られたが,生物処理水は毒性が見られなかった.実験室での塩素消毒後は,残留塩素の存在により,いずれの処理水も毒性が見られ,未生物処理下水,接触酸化処理水,生物処理水ともに毒性が見られたが,チオ硫酸ナトリウムによる脱塩素処理を行うと毒性が,塩素消毒前のレベルにほぼ低減した.このことから放流水域の水生生物の保全が必要であれば,脱塩素処理が有効であると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 下水道協会誌

    下水道協会誌 54 (656), 93-100, 2017-06-01

    公益社団法人 日本下水道協会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ