両側頸瘻を契機に診断された鰓耳腎症候群の 1 例

DOI
  • 福嶋 晴太
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科学分野 九州大学病院形成外科
  • 上薗 健一
    九州大学病院形成外科
  • 門田 英輝
    九州大学病院形成外科
  • 中川 尚志
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A case of branchio-oto-renal syndrome diagnosed with bilateral cervical fistula

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抄録

<p>症例は 48 歳、男性。先天性腎低形成、先天性難聴の既往を認めた。生下時より両側耳前部、両側頸部に瘻孔を認め、少量の浸出液が漏出していた。耳前部の瘻孔は 2 カ月前に当院形成外科で切除された。今回は両側頸瘻の加療希望があり当科受診、手術の方針となった。頸瘻は両胸鎖乳突筋前縁、甲状軟骨下縁のレベルに開口していた。術前に瘻孔から造影剤を注入し CT を撮影した。瘻孔は舌骨方向の外側より、扁桃窩付近に連続していたが、咽頭への交通は認めなかった。また、CT 画像を 3D 化することで瘻孔の構造を分岐も含め立体的に評価し得た。全身麻酔下に両側頸瘻を損傷することなく摘出した。術後経過は良好であり、術後 4 日目に退院した。鰓耳腎症候群はまれな疾患であるが、早期に診断することで、腎疾患の合併を予測することができるため、先天性の難聴や鰓原性奇形がみられる症例では本症候群を念頭に置いておくことが重要である。また、CT 画像の 3D 化が、瘻孔の形態評価、術前のシミュレーションに有用であった。</p>

収録刊行物

  • 耳鼻と臨床

    耳鼻と臨床 63 (6), 211-214, 2017-11-20

    耳鼻と臨床会

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