いつ,生徒の観察・実験に対する興味の“深さ”に介入するべきか?

  • 齋藤 惠介
    高知大学大学院教育学専攻
  • 原田 勇希
    秋田大学教育文化学部(受付時所属:日本学術振興会特別研究員PD・高知大学教育学部)
  • 草場 実
    高知大学教育学部

書誌事項

タイトル別名
  • When Should We Intervene in “Depth of Interest” in Observations and Experiments?: Promoting Positive Emotion in Science Learning
  • ―理科全般に対するポジティブ感情の醸成を見据えて―

抄録

<p>近年,興味をポジティブ感情(強度)と価値の認知(深さ)から捉える理論的枠組みが提唱されており,強度と深さを望ましい状態に導くことが重要である。また,これまでの大規模調査より,我が国の生徒は理科全般に対する興味の強度に課題があることが示唆されているが,観察・実験に対する興味の強度は比較的良好に保たれていることが明らかになっている。そのため興味に介入する場合,観察・実験を足掛かりにすることが考えられるが,強度と深さのどちらを先行して育成すべきであるかについて未検討な点が多い。そこで,本研究では観察・実験に対する興味の強度と深さに注目し,理科全般に対する興味の強度との関連を検討することを目的とした。結果より,“理科学習に対するポジティブ感情”と“観察・実験に対するポジティブ感情”は別因子として抽出できたため,両興味は並存しえる構成概念であるといえる。また,生徒の観察・実験に対するポジティブ感情が低い状態で深い価値の認知に介入することは,理科全般に対するポジティブ感情をより低減させてしまう可能性が示唆された。このことから,教師は生徒の観察・実験に対するポジティブ感情の強度に応じて,興味の深さに介入していく必要があるだろう。</p>

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 61 (1), 107-117, 2020-07-31

    一般社団法人 日本理科教育学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (7)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ